一眼でも生きている石

やるべきこと:体重65kg、ゴミ出し、掃除、睡眠時間の確保。できるまで他の一切は不要

勤務2週目

 勤務2周めを終えての三連休であったが、だいぶひどい風邪を引いて三日間ひたすら寝込んでいた。おそらく、気候の変化、台風の来襲に加えて急に睡眠時間を短くしたために免疫力が低下していたというのがあるのだろう。そんなわけで記録しておきたいと思っていたさまざまなことが記録できておらず、遺憾である。

 

 台風の来る前の週。課長に「台風が来たら無理して来なくていいよ」と言われる。ホワイトだなあ、と思う。

 6日月曜日。実際に台風が通勤時間帯を直撃するも、首都圏の電車は大して乱れなかった模様。自分が乗る某線は急行の運転を取りやめ、この日初めて各駅停車に乗る。各駅に乗った途端見慣れない駅が連続。読書に耽っていたら降りるべき駅を通りすぎてしまった。だが「各駅だからもっと時間がかかるはず」と考え、路線図も見ずに席にふんぞり返っていたら5駅くらい通りすぎたところでようやく乗り過ごしていたことに気づく。「無理して来なくていいよ」という言葉が頭のどこかにあって油断していた、というのもあるだろう。

 結果15分ほど遅刻。他の職員がみなきちんと来ているなか、「台風による電車遅延」のため遅刻したという申告をするのは勇気のいることだった。台風が来なかったら各駅停車には乗らなかったから、あながちウソではない。

 

 火水木の3日間は研修。7日火曜日、喉が痛くなる。明らかに風邪の初期症状。ひたすら人の話を聞き続ける座学の研修であり、何かの役に立つ部分は非常に少ないが、このタイミングでの風邪だったのは不幸中の幸いか。

 現在携わっている業務に関する話はほとんどしないという変な研修で、意義は極めて疑わしかったが、GATBという適性検査を受けられたのと、障害者雇用で先進的な取り組みをしている某企業を見学できたのはよかった。

 GATBはアメリカで10年近い研究のもとに生み出された職業適性診断であり、IQテストのような問題を解いていくのであるが、これで空間認識能力や言語に対する敏感さを測り、おのおのの高い能力を活かせる仕事はどれか、あるいはある能力が低いため諦めるべき仕事はどれか(後者に大きなウエイトがかかっている)ということを診断する。

 私は以前からこの種のテストを受けたとき同様、言語方面では高い成績を出す一方、空間認識能力はてんでである。だが、「適した」職業に「人文系の研究者」が含まれていたことは私にとって密かな励ましになった。もっとも隣に座っていた同僚は「適していない」職業が一つもないという輝かしい結果を残した。医者にでも弁護士にでもなんでもなれる素質があるのだという。それでもお互い中級公務員をやっているだから、まあ、そういうものだろう。そもそも最低限の素質を測るためだけの診断なのだろう。

 某有名化粧品メーカーの子会社の見学へ。この子会社は、50人ちょっとの従業員のほとんどが障害者である。(知的障害者が多数を占める。) 障害者の法定雇用率2%というのがあるのだが、グループ会社での連結での2%達成でもよしとする特例がある。それを利用して、知的障害者に適性のある業務を集積した、納品先はすべて親会社という、2%達成のためにつくられた企業だ(こう書くと身も蓋も無いが、もちろんそれでも相当高い社会貢献への意識によって運営されていることを忘れるべきではない)

 私自身、学部生で就活したときに法定雇用率を達成している企業中心に応募するということをしていた(今では、どうかと思っている)から、いくらか関心があった。見学では社長(親会社より出向した方)の話を聞き、作業現場を少しみただけであったが、なんというか、どうということのない、淡々とした風景であった。障害者の作業場であるということはまったく意識されなかった。工場ってこういう感じだよね、という清潔感と静けさ。普通の人々が作業をしている。その場に居合わせているだけで、(知的)障害者に対する「変な」意識が自分から抜けていくのを確かに感じられた。