一眼でも生きている石

やるべきこと:体重65kg、ゴミ出し、掃除、睡眠時間の確保。できるまで他の一切は不要

かわいそうなふたり

 先日、同棲を解消し、ペットOKのマンションに引っ越していった彼女が、ついに猫を飼い始めた。猫の名前は、私がつけて「ベッキー」となった。「別居」にちなむ。スコティッシュフォールドという品種らしい。

 ペットショップで十何万も出して買ったのだが、ベッキーはすぐに皮膚病になって、左目の上がハゲたような、カビが生えたような状態になっている。人に伝染る可能性のある病気だそうだ。ペットショップに問い合わせたが、責任はとれないという。当初から目の上に腫れのようなものがあって彼女は心配していたのだが、いかにも知識がなさそうなアルバイト(たぶん)店員が「これはすぐに治りますよ」と言ったそうだ。そう言ったからには、事実と違ったからには販売者としての責任が問われてしかるべきである。ひどい無責任である。

 「病気ということで返品となると、保健所に送られて殺処分なのかな? よくわからないけど」と、私のこれまた何も知らない無責任な発言のために、彼女は途方にくれてしまった。彼女の母も彼女をよく確かめもせずに選んだことについて彼女をひどく叱りつけたようだ。せっかく憧れの猫との生活が始まったと思いきや、早速こんな四面楚歌状態の、かわいそうな彼女である。

 この私は私で、とてもかわいそうな男で、休職中に病体を押して勤務先の偉い人達と面談をしたら、一気に具合が悪くなってしまった。何かきついことを言われたわけではないのだが、仕事のことを思い出すだけでひどい動悸と抑うつ気分に襲われた。もう復職とか無理だ、フリーターに戻っちゃる、という気持ちがたいへん強くなった。

 まだ公務員として半年務めていない私は、一応試用期間中であるので、病気休暇は最大90日までしかとれず、それで復帰できなければ免職である。(半年以上務めていたら、傷病手当が1〜2年もらえ、身分も保障されるようだ) あと60日ほどで治さなければならぬ。そりゃ無理だと感じる。

 甘い同棲生活は終わり、二人の関係に変化は生じたが、お互いかわいそうな人間であるので、相憐れむ形で関係をしっかり維持できそうだ。