一眼でも生きている石

やるべきこと:体重65kg、ゴミ出し、掃除、睡眠時間の確保。できるまで他の一切は不要

『15時17分、パリ行き』のネタバレ(?)を含む日記

  午前中、やってはいけないことをやってしまう。リーグ・オブ・レジェンドのランクゲームで、味方にmia pingで煽られて、カッとなってAFKした。煽られるのはこのゲームの日常だ。いつもなら黙ってミュートする。今日の私はそれができず、まずチャットに書き込むことからはじめた。

「なにがわるかったですか?」

「Tell me what was wrong.」

 英語と日本語の両方で書いたのは相手が外国人であることも少なくないから。「なにがわるかったですか?」と書いたのは、ほんとに何が悪かったのかわからなかったから。midレーナーが勝手に前に突っ込んで死んだ。ジャングルの私は最短距離で駆け付けたが間に合わなかった。そしたらmia pingを連打してきた。

 相手の「なにがわるかったですか?」に対する返答は

「gg」

 これでキレた。Alt + F4を押してゲーム画面を消去。普段ならここまで短気ではないが、昨日から自分でも気づかないうちに精神的に追い詰められていたのだろう、衝動的にそうした。

 反省している。自分をしばらく"出場停止処分"とする。当分、このゲームはやらない。衝動でAFKしてしまうような精神状態の人間がやるべきゲームではない。

 渋谷に行ってMacbook Airを買うことにした。家にいるとついリーグ・オブ・レジェンドに手を出してしまうかもしれない。しかしPCがなければできない作業も多い。だから、ノートPCを買う。幸いにして私はトラックパッド操作のMacbookリーグ・オブ・レジェンドをやるような変態ではない。Macbookを持って各地のカフェにおもむき、優雅な休日を過ごす。

 渋谷に行ったついでに、映画を観た。映画館に行くこと自体が久しぶりだ。観た映画はイーストウッドの最新作『15時17分、パリ行き』。イーストウッドの映画であること以外は何の予備知識もなしに観た。映画体験の質を高める重要なコツの一つは、事前情報をできるだけ少なくすることであるが、今回もそれが非常にうまくハマった。終盤の表彰シーンはハンカチで涙を抑えずにはいられなかった。

 本当の衝撃は映画が終わり、スマホで改めて映画の概要を調べていた時に襲ってきた。主要登場人物は、みな俳優ではなく、事件の当事者が自分自身の体験を「演じて」いるのだという。そんなバカな。あのカメラ映りのいい容姿をもち、観ていて気持ちよくなるリズミカルな"演技"を披露していた3人が、俳優としてはまったくの素人だというのか。「当事者」であることの魔法と、イーストウッドの監督としての力量が、彼らのカメラ移りを完璧にしたのか、それともたまたまそういう才能を持ちあわせた3人だったのか…?

 恐れ入るとしか言いようがない。私にとって非常に幸運だったのは、この情報を知らぬまま映画に臨んだこと。この映画に関するネットメディアの記事にフツーに書いてあるのだが、それを読まずにすんだ。知っていたら「素人がどんな演技をするのかな」という視点で観てしまっただろう。

 できるだけ少ない前提知識で作品に臨むことの幸せを追求するために、普段から余計な情報を仕入れぬよう生活すべきである。