一眼でも生きている石

やるべきこと:体重65kg、ゴミ出し、掃除、睡眠時間の確保。できるまで他の一切は不要

勤務開始

 勤め人になってはじめての土曜日を迎えた。(「社会人」という言葉にはウンザリする) まだろくに仕事をしていないので、大した感慨はない。
 
 私の職場は労働行政の窓口である。ごく僅かな例外を除けば、日本国内において「労働」しているすべての人々が対象となる行政であって、外国人も障害者もシングルマザーも、最近では高齢者も、みんなやってくる。職場には小さいながらも子供の遊び場があり、赤ちゃんの泣き声がときたま聞こえてくる。生活保護受給者専門の窓口や障害者やアルコール依存症患者のための窓口もある。
 
 私にとって、多様な人がいる空間というのはとても「落ち着く」環境である。同質な人ばかりで構成される空間にいると、自分もその「同質な」存在になろうと、意志的にも無意識にも努力してしまう。いろんな人がいると、自分は自分で良いんだという安らぎを感じる。
 
 就業前に繰り返し言われたのは、ナーバスになっている人たちが多く来る役所なので、罵倒されたりすることは少なからずあるから覚悟しておけというようなことだった。実際、早速大声で怒鳴っている人を見かけた。私が上司(係長)の接遇を見学していたときも、上司に対して「行政として○○についてどう考えているんだ!」と机をドンと叩いてキレ気味に詰め寄っている人がいた。
 
 ところが私の上司は「○○について議論する必要など、今はないでしょう!」と毅然としてはねのけてしまった。カッコイイと思った。
 
 日本には、罵倒し返されるリスクを負わずに罵倒する卑怯者が多いと常々感じる。どんな理不尽な罵倒・クレームに対してもひとまず「申し訳ございません」と謝罪し、卑怯者を助長する文化もまた卑怯。とりあえず上司は、あるいはこの役所はそういった卑怯さはあまりないようだ。
 
 職場の人々は、みな精神的には安定していて明るく、ギスギスした感じはない。これは助かる。とはいえ、精神を病んで休業中の人も何人かいるようだ。気をつけねばなるまい。
 
 基本的には制度を個別に適用し、個別に説明する仕事であるので、まず何よりも制度を深く理解しなければならない。そのための勉強をいかにこなしていくかが当面の課題だ。