一眼でも生きている石

やるべきこと:体重65kg、ゴミ出し、掃除、睡眠時間の確保。できるまで他の一切は不要

What am I (2)

 自分はまだ病気ではないと、腹を括って水曜日出勤。医者が言ったとおり、私にはたいへん有り難い「配慮」が待っていた。当分、通常の窓口業務はこなさず、裏方の事務に徹するということになった。また、直属の上司たる係長ではなく、課長の指示に服するということになった。私は面談などで「係長と合わない、係長の言っていることはパワハラである」というようなことは全く言っていない――なぜ言っていないのかは後述――のだが、それでもこの配慮。さすが、一応は労働行政の一端を担っている組織だ。

 とはいえ喜んでなどいられない。明確に劣等生としての烙印を押された。また、事情を知らない人からしたら私の勤務実態はたいへん訝しい。何より、私に任せられた「業務」におよそ意味が無い。すでに3〜4人がチェックした書類をチェックしたり、書類の記入をしなくても良い部分に記入したり。校正は自分の得意分野だが、間違いは1個も見つからない。責任ある人の責任あるチェックを経ているのだから滅多なことがなければ間違いは無い。

 仕事は、無理やり捻出してもらっている。たいへんな労力を用いて出勤し、その結果する仕事がないばかりでなく、私に無理やり仕事を与えるという負担を他の人にかける。腫れ物に触るように扱われる。一日が、とても長い。無聊に耐えるのは私の最も苦手なことのひとつだ。今週の水木金と3日間それが続いた。来週以降もおそらくそうだ。こんなことをして、いったい自分はこれからどうなるんだ。

 新たな深刻な悩みが生じた一方、正直な話、メンタルヘルスの状態はだいぶ良くなった。係長からの叱責がなくなったのはやはり大きいし、毎日1〜3時間(サービス)残業していたのが、定時に帰してもらえる。抗うつ剤も効いてきたのかもしれない。しかし今の、屈辱的な地位にとうぶん甘んじるとなれば、また別の形で再発するだろうと思う。

 はてさて、自分はいったいどうすればいいのか。

 いったい、なぜあれほど叱責ばかり受けたのか。発達障害なのだろうか。これまでの自分の人間関係の貧しさを鑑みると、自分が対人業務に相当難があると考えるのも不自然ではない。人と話すこと自体が苦しいというわけではないが、相手の真意を理解したり、的確に伝達したりと言った能力が、すっぽり欠けているのかもしれない。

 あるいは、私は係長に不当な扱いを受けているのだろうか。どうしても理不尽だと思えるときもある。また、課長や先輩からの指示と係長の指示が食い違うときのうまい折衝が自分にはわからない。だけれども、他の職員からの信頼が厚く、客観的に見て非常に有能な人物であることは間違いない。そんな中で係長が悪いと訴えることは、ただでさえ人との軋轢が苦手な自分には大きな負担で、パワハラだとはなかなか言えないというか、そもそも思えない。

 忘年会のとき、係長は「おれが今まで仕事ぶりで怒ったのはあなたともう一人だけだよ」と言った。(このときは飲み会の席なので無礼講) 確かに私以外のどの職員に対しても、寛大で鷹揚な態度で接している。ただ、そのもう一人というのが、私が着任する直前まで私の席に座っていた人物らしく、係長と合わなくて半年で異動となったということを、親しい同僚から聞いた。どうやらその人物も私と同じようなミスをする、私と似た傾向の人間らしい。係長にとってどうしても我慢ならないタイプの人物が、彼や私のような人間なのかもしれない。

 私も上司を替えてもらったら、人並みに窓口業務ができるようになるのだろうか。私の役所は公務員としては窓口業務が多いところなので、裏方の部署ばかりにまわしてもらえるということもないだろう。上司が替わっても窓口が無理だとしたら、私は職業選択を間違えたのだからできるだけ早く他の道を歩むべきだ。

 なんにしても当分は、何も業務がないところへの出勤を耐え忍ぶしかないのであろうか。