一眼でも生きている石

やるべきこと:体重65kg、ゴミ出し、掃除、睡眠時間の確保。できるまで他の一切は不要

決然とするぜ

●職場担当医との面談

 16日月曜日。給料日。休職中でもちゃんと給料が振り込まれることを確認。

 夕方、職場の担当医との面談。私が患い始めた当初は「担当医に診てもらってどうしようというのだね、君」という雰囲気があったため、会わぬまま終わるのかとばかり思っていたが、先日の面談で突如話が持ちだされた。

 よく聞く話だと、担当医(産業医)も会社側の人間であるから、会社に都合の良い診断を下しがちであると。今回私も、何を言われるだろうか、「お前はただ甘えているだけだ」等と言われたらどうしようかという心配をしてはいた。

 結果的には、ありがたいことに、この担当医は私の自己診断がほぼすべて正しいというお墨付きを、職場のお偉いさん方に対して与えるという形になった。

 「この人は確かに、発達障害の傾向が強くあるでしょう。今の職場で努力しても、能力を活かすことができない可能性が高い。何か得意分野――一人でコツコツとがんばるようなタイプの仕事(研究職など)――に特化して仕事をするなら、通常の人よりもずっと良い仕事をする可能性があります。そういう部署につかせることはできますかね?」

 というような内容。私が人事に対して言いたいことをまったくそのまま代わりに言ってくれた形だ。

 職場の長と、人事担当者がその場にいたが、彼らはたいへん困った様子だった。そんな部署は、我が職場には無いからである。

 「正直な話、ミスマッチだと言わざるをえない。ichigan411さんは、今回自分の特性がはっきり確認できてよかったと考えてほしい。辞めることに対して、敗北感のようなものがあるかね?(そんなものは、持つべきではないのだ)」

 ということも言った。辞めたいという私の気持ちを肯定し、「辞める」ことについてのネガティブなイメージを払拭するよう勧める言葉だ。

 私の今の職場には、私に合う仕事はない。適性のない仕事を続けるのは、私にとっても、雇う側にとっても、私の仕事のそもそもの顧客である国民・労働者のみなさまにとっても、不幸なことであろう。

 まだ辞めると決まったわけではないが、医者の言葉のおかげで、決然とした気持ちで辞めることができるだろう。いよいよ、私が本当に行くべき道を行くのだと。どのような茨の道であっても、これが私の進むべき道だという確信を持って、生きることができる道を。ある程度の貧しさと孤独にだけ耐える覚悟をせねばならぬ。また、本当に敗北する可能性について考えねばならぬ。

 それでも、決然としていられるということの喜びがあれば、それらの不安に克つだろう。

 

●引っ越し

 予定通り2月11日、引っ越す。通勤時間は半分以下に短縮されるが、休職中の身には無意味である。近くを首都圏在住者にはお馴染みの、大きな川が流れているので、そのほとりを散歩できるのが精神衛生に良さそうだ。

 引っ越しに際して、自宅ではインターネットを契約しないということにした。ネットに繋ぐ際はカフェか図書館に行かねばならぬ環境に自分を追い込んだ。長年ネット依存に苦しみ、様々な解決策を自分で試みてきたが、今まででいちばん根本的で、有効な解決策と言えるだろう。彼女との同棲中は思いついても実行できなかった案だ。別居することのメリットは少なからずあった。

 別居に際し少なからぬ金が飛び、労力も費やしたたため、私はある程度彼女をなじってしまい、お前責任をとれと半ば強引に13万円ほど借りたが(自分の貯金を崩せば賄えるのに借金したクズ)、結果的に別居という選択は正しかったと、しみじみ感じる。ネットも同居人もない環境での勉強は、集中の質が確かに異なる。

 私を公務員試験に導き、試験期間中私を励ましてくれた霞ヶ関官僚の友人と会って食事。彼に対しても、休職してしまったことに後ろめたさがあったが、彼によると彼の省に入った一年目職員同期数十人のうち、3人ほどがすでに休職し、退職者も1人いるとのこと。自分だけではないと安心する。

 彼は入省直後に早々と結婚した。彼の妻も中国人である。理由あって私は、自分に中国人の彼女がいることを彼に言えずにいた。それが今回、どうでもよいことがきっかけで暴露された。中国人パートナーを持つもの同士としても、今後友情を築いていければと思う。